チャンスについて、考えています。

出場者の皆さまへ, 室内楽コンクールOSAKA事務局

「黙っていい曲を演奏していたら、いつかきっと理解してくれる人が現れる。」

というのは、いつか王子様が現れるという以上に見果てぬ夢でしかないと思うのです。

かといって、何もせず家にじっとしていたら、突然電話がかかってきたり、ラインが来て、演奏の依頼が来るなんて言うことは、どう考えてもゼロ。

『運命の女神さまは前髪しかないので、通り過ぎて後ろ髪をつかもうと思っても、つかむことは出来ない』

現在日本を代表する指揮者の方の言葉です。東京・大阪でシェフを歴任されている方です。

ちなみに、私の尊敬する音楽家が、ボランティア演奏をしていたのを見てその指揮者の方は、「不登校の子どもたちに音楽を教えることは素晴らしい事です。でも、君がすることではない!」とも言われたとのこと。

さて考えてみましょう。

まず、運命の女神さまは毎日あちこちに現れるわけではないし、それどころか一生に一度現れるかどうかもわからない。そもそも、現れたとしてもそれが女神さまかわたしたちに判断できるという保証もありません。

しかし、運命の女神さまについて、わたしたちは現れるのを待つしかない。ただ、待っているだけの人のところには、やってこないような気もするけど、待つしかないと思います。

もしかして、ひたすら努力を怠らなければ、一万時間目に、ふらりと来てくれるかもしれない、人によっては、八千時間かもしれないし、八万時間かも知れない。ということは、来たと思ったら迷わず前髪をひっつかむということだけは、決まっています。

でも、つかんだ神様が、貧乏神であることも考えられる。それでもつかんでみなければわからないし、こればっかりは、運かも知れない。だから、運命の女神さまなのかな、とも思ったりもします。

チャンスは平等には訪れないことの方がはるかに多い。

一方で、チャンスが平等に訪れないということもわたしたち音楽家は、なんとなく実感している。このことを不公平という言葉で片付けることもできるけれど、現実としてある程度受け入れなければならない部分でもあります。

だから、必死で一万時間でも努力をするのだけれども、よく考えてみてください。

わたしたちが人生をかけて成し遂げたいものは

これまでの人生、莫大な時間とお金を費やしてクラシック音楽を勉強してきたし、これからも勉強は続く。

それほどまでに努力して成し遂げたいと思うのが、わたしたちにとって音楽だということ。

だって、最高の演奏をして最高に気持ち良い拍手を受ける、そのための緊張感を味わうために幼い時から努力しているのだから!

このコンクールがもしかしたらあなたの運命の女神さまになるかもしれない。願わくば、より良い方向へ導くきっかけになって欲しい。

そんな気持ちで事務局として、このコンクールと向き合っています。

2022.09.20 室内楽コンクールOSAKA事務局

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