一般的に音楽大学の学生は、大学でのんびりとした練習の日々から解放されて、卒業後は晴れて演奏家としての道を歩み出しますが、当然仕事はありません。というよりも、演奏を聞いてくれる人を探さないといけないからです。

リサイタルを開いたり、自分のCDを出したりできるような演奏家に上り詰めるのは、ほんの一握りです。

 最近では、ライバーと呼ばれる人たちが出てきて新しい表現をされる人もおられます。トップライバーぐらいだと、月に1千万円近く稼げるみたいで、つまり年商一億円ということになるみたいですが、それは音楽以外の別の才能を磨かなければいけないので、ちょっと違うかなあと思ったりもしますよね。

クラシック音楽の演奏の場合、一晩のコンサートに数百人の聴衆を呼んでリサイタルを開けるようなレベルになるのは、たとえそれが自腹であろうとも、赤字であろうとも、親戚を総動員した持ち出しだろうが、ほんの一握りになります。

学生時代、毎日ソロの曲をあれだけ練習して、先生にレッスンしてもらったのに、たった一晩演奏するという演奏家というだけでは、当たり前の仕事をこなせるようにはなっていません。

さらに、それを毎月、あるいは毎週、大きな収入を安定して得られるようなレベルで開ける演奏家になるのは、さらにその僅か一握りです。それだけ、レパートリーを持っている演奏家になるという事と、聞いてくださるお客さまがいる演奏家になれるというのは、もはや普通では考える事ができません。

さらにそれを、70を過ぎてもキープできるような不滅の巨匠になるのは、とてつもなく低い確率だ。国内を見渡しても、数人いるかな…と言ったところです。

しかも、コンクールに優勝したり大ヒットを生んだりして音楽家として頂点を極めても、成功して大きな収入を得て、土日に休めるようになった途端、年とともに音楽の技能の方はどんどん落ちていきます。
演奏はスポーツと一緒で体力的なピークは20代、精神的なピークは30代といったところで、そこからは確実に衰えていきます。

音楽の場合は、積算される経験値が深みをもたらすみたいで、体力精神力の限界すなわち引退とはならない。しかし、40代をすぎてからの努力は、もはや上達するものではなく、下に堕ちないためのものへと変質していきます。

 だから、今現在の若い演奏家に多くのチャンスを、と私たちは考えました。

なるべく早い期間で、「下積み」が終われるように、新しいお客さまと出会える機会となればと考えています。このコンクールでは1985年以降の出生の方のみがステージに上がることが出来ます。

ぜひ、若い世代にチャレンジしてほしいです。

皆さまのエントリー心よりお待ち申し上げております。

2022.09.27 室内楽コンクールOSAKA事務局

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