来年も同じ景色を見たくない、と思うこと。
付き合いから仕事をもらうのがキャリアのスタートですが
大学で音楽を学んで卒業したからと言って、すぐに仕事があるはずもなく、必死になって先生や先輩からおこぼれの仕事をもらうのが、キャリアのスタートです。その仕事先でも気に入ってもらえるように、行儀よく、愛想よくしなければいけません。これは、演奏とは違う能力が必要で、私みたいに「打ち上げは行かない」みたいなことを言っている人には、仕事はまわってきません。
「昔の人」枠になっていませんか?
エキストラや単発の仕事にしても、どんどん若手が登場し、卒業時の名声に胡坐をかきたくてもそんな暇もなく、あっという間に古い音楽とか、昔の人という烙印を押されるようになります。それが宿命の世界でもあります。
年間に1万人ぐらいの人が音楽系の大学を卒業するみたいですから、卒業して数年も経てば、もうすでに「昔の人」枠になってしまいます。
かと言って、いつまでも同じ現場で仕事をしていると、世間からは白い目でみられたりもします。学生時代にたまたまもらった仕事をいつまで続けていると、「若手に回したら?」という声も聞こえてきたりもします。
若手に仕事を回す
ちょうど私たちもそのくらいの年齢に差し掛かってきていて、若い時にいただいたお仕事は人に振るようにしています。特に先輩からもらったお仕事は、なるべく下の世代に渡さなければいけないような気持ちになります。
それも、回しても他に仕事がある人の場合に限りです。理想は、仕事が忙しくて回らないので、後輩に仕事を回せるというのが望ましい。でも、現実は意地でもその仕事にしがみ付かなければいけないという人もたくさんおられます。
今ある全ては通過点、と思いたい。
ただ、ひとつ言えるのは、同じ仕事を続けて、同じ景色を見続けるのはやはり恐怖です。可能なら、来年は違う景色が見たいと思うもの。演奏家として成功したいと野望を持っている若手にとって、今ある全ては通過点でしかないと思いたいからです。
さらに、いくら順番待ちをしても、その先の道は開けていないのだから、自分たちで別の道を探さなければいけない。この辺りは誰も教えてくれなから、自分で考えるしかないと思っています。
これはもう、努力とか一生懸命とか言って、何とかなるような話ではなく、毎日毎日、ご飯を食べて空気を吸うように音楽で生きていくことを自然体とするしかない。
音楽を続けないと何ともならない。
成功するのも失敗するのも、お金が入るのも貧乏するのも、運命の女神さまに出会うのも、すれ違うのも、音楽を日々やっている中で起こる自然な出来事であっても、それ以上でもそれ以下でもない。
そう割り切れる、強気か、呑気かどちらかの人間でなければ、とても生きていけないような気もします。 つまり、音楽をやり続けないと何にもならないということです。
そんな感じなんで、それでも演奏家になりたいと思っていて、私たちのところにだけ、30年以内に確実に、運命の女神さまがやってくると信じています。あわよくば来年来てくれてもいいって思っています。
この先も、ずっとずっと音楽を続けていくって決めているのだから、早いうちに女神様に出会いたい。そして、出会ったら、すぐに前髪を引っ掴むこと、これだけは決まっています。
室内楽コンクールOSAKA 事務局
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