コンクールの意義について

出場者の皆さまへ

クラシック音楽の名手たちがもし…

 クラシックの音楽史には、超絶技巧の名手として伝説となっている演奏家たちがいます。例えば、ピアノのリスト。19世紀最もモテた演奏家としても有名で、彼のピアノを聴いて、失神するご婦人たちがいたというのはどうやら本当の話みたいです。ヴァイオリンのパガニーニにしても「悪魔に魂を売り渡した」と言われるほど、何人も寄せ付けない圧倒的な技術であったと言われています。

 でも、その時代のピアノの名手が、例えばショパンが、今のショパンコンクールに出場したとしたら、どうでしょう?「案外予選落ちかもしれない」って、考えてしまいます。おそらく、今の若手の演奏の方が上手だと思うのは、私だけではないと思います。

コンクールの意義

 では、一体コンクールはなんの為にあるのでしょうか?

 まずは、新しい才能を見出すためにコンクールというのがあると思います。でも、その判断基準がやはり難しいです。スポーツのように見た目で優劣が判断できる競技ならいざ知らず、どちらの演奏が上手だという問いに、正しく評価する仕組みというのがなかなかありません。

 一般的には、客観的に「技術点」、主観的に「芸術点」を出して、それぞれの合計点か、平均点を割り出したり、上下の点数をカットしたりして、工夫を凝らしながら優勝を決定するのですが、それは、減点の少ない人を割り出すには良い方法かもしれませんが、素晴らしい演奏という本質には遠くなっているように感じてしまいます。

 もちろん、減点の少ない演奏は、素晴らしい演奏が多くあるというのは、経験値で理解はできていますが…。

 結局は、コンクールで最も問われるのは、コンテスタントではなく、審査員のように思えてなりません。

審査員に問う

 どれだけ有名な審査員がいようとも、どれだけ優勝賞金が高くても、優勝者がその後活躍しなければ、そのコンクールは二流でしかないと思います。将来大成する演奏家を選ぶという趣旨からは、かけ離れているように感じる時もあります。

 「将来活躍してほしい演奏家をみんなで探し出そう」というのは、この【室内楽コンクールOSAKA】の趣旨です。そして、「誰が選ばれるのか」という興味と同時に、選ばれた才能の今後の活躍を楽しみに見ることができるのが、最大の目的でもあります。

 私たちの主催するコンクールでは、全スタッフが全力でサポートする仕組みを確立しています。若い才能に最高の舞台を提供するよう努めてまいります。どうぞ、エントリーはお早めに申し込みください。

2022.10.14 室内楽コンクールOSAKA事務局

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